2023年9月2日 パイナップル

今週のお題「パイナップル」

 

 パイナップルは畑に生る。つまり畑作であることを知ったのは、30歳を超えて迎えた新婚旅行で行ったハワイでのことだった。確か、フルーツを使った食品を製造、販売しているドールの工場だったか、その前を通った時のことだ。

 その時は実際に生っているところを見ることが叶わなかったが、看板には畑一面にパイナップルが生っている写真があり、それを見て衝撃を受けたのを覚えている。トロピカルなフルーツとして認識しているパイナップルは、当然南国でヤシの実のような背の高い木に実り風に揺れていて、そのマツカサのようなトゲトゲしい形状から落ちてきたら危なそうなイメージしかなかったのだ。

 輪切りのシロップ漬けとなった缶詰しか知らなかった私がパイナップルの実物を初めて見たのは幼稚園に入った頃だ。父が仕事から持ち帰り、まだ熟れていないからと車の後部座席に置いて熟れさせようとしていたのを覚えている。おそらく、生産地と同じ暑い環境に置くことで追熟を試みたのだろう。後に知った話だが、パイナップルは追熟しないらしい。車に置いていたのは、ただのインテリアとしての役割しか果たせなかったようだ。

 実物のパイナップルを切り分けて食べた時、強烈な酸っぱさが口一杯に広がり咽そうになった。何とか咀嚼し飲み込んだ後、歯に繊維が引っ掛かり取るのに苦労した、そんなことを思い出させてくれた今週のお題だった。最近食べてないなぁ。